こんにちは、ダイシンビルドWEBスタッフの後藤です。
今回から家づくりに関する様々な情報を、ダイシンビルドの施工事例や関西の地に根差したお話をもとにこちらでお伝えさせていただきます。
どうぞよろしくお願いいたします。
早速ですが、春ですね。
早いもので桜が満開になっています。
毎年目にしているにも関わらず今年もその美しさに魅了されていますが、日本を訪れる外国人観光客も桜を目的とされている方が非常に多いらしく。
やはり桜の美しさは世界共通なんだなーと、桜の美しさを実感するばかりです。
そんな桜を堪能できるのが「お花見」ですが、今年はついに全国各地で宴会も解禁となりました。
3年ぶりだそうで、日本全国どこもかしこも平日でも凄い人出だそうです。
お花見は日本各地に多くの有名スポットがありますが、関西の有名スポットと言えばやはり吉野山の千本桜ではないでしょうか。
桜でとても有名な吉野山ですが、山の歴史は非常に古く、桜以外にも素晴らしい木々が豊富にあることでも有名です。
今回のコラムでは、ここ数年コロナの影響により控えていた吉野ツアーを再開させていただく前に、見学先の「吉野山」についてお伝えさせていただきます。
吉野山は奈良県吉野町にある、大峰連山北端約8㎞にわたる標高500mの山です。
その歴史は非常に古く、今から約1300年前の奈良時代までさかのぼります。
当時、神が宿るとされた吉野山は、神仙の住む理想郷だと考えられていました。そのため、多くの修験者が集まり、日本古来の山岳信仰に神道や仏教が結びついた民族宗教である、「修験道」の寺院金峯山寺が開かれました。
役行者が金峯山寺を開く際、桜の木に感得した蔵王権現を彫って本尊とし御神木として保護したことから、相次いで桜の木の寄進を受けることとなりました。
吉野では桜の木を寄進することを、御神木の献木と言います。
※感得・・・感じて会得(えとく)すること。特に、深遠な真理などを悟り知ること。
1300年、霊場として守り受け継がれてきた吉野山には、今日まで長い時間をかけ多くの参拝者が訪れ献木を行ったことで今の姿があります。
山や尾根を埋める桜は3万本以上と言われており、4月上旬から下旬が見ごろとなっています。
今年の暖かさですと、弊社のツアー時期には残念ながら桜を愛でることはできないかもしれませんね。
吉野山は麓から下千本、中千本、上千本、奥千本と順番に開花し、山が順番に桜で染まっていく様は正に見事と言うほかありません。
そんな桜で非常に有名な吉野山は、2004年7月に、「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界遺産にも認定されました。
吉野山についてご説明させていただこうとすると、どうしても「桜」がテーマになってしまいがちですが・・・家づくりを行う会社に携わるものとしては、吉野というと素晴らしい無垢の木「吉野檜」と「吉野杉」を思い浮かべます。
どちらも古くから日本で重宝されてきたブランド木です。
先ほど吉野山には1300年の歴史があるとお伝えした通り、1300年前から吉野山には人の手が加えられてきました。
そのため、吉野で杉や檜が育つ森は天然ではありません。
人の手で作られた人工林であり、一定面積に間隔を開けず苗を植える「密植」という方法で、杉や檜は育っていきます。
通常の植林木は1ヘクタール当たり2,000~3,000本植え、40年~50年のサイクルで収穫を目指しますが、吉野で行われている密植では、1ヘクタール当たり10,000本以上という通常の3倍以上という超高密度で苗を植えています。
木と木の間が非常に狭いため、木は一気に成長することができません。
そのためゆっくりゆっくりと育つのです。
人の手で成長を遅らせることで、芯材部分の年輪は細かく刻まれ、根元から先端まで太さが均等な木を育てることができるのです。
密植で成長を遅らせるというと、生育環境が悪いようにとられるかもしれませんが、実は密植こそ天然林に近い生育環境であり、林本来の姿なのです。
本来の形が密植なら、通常はなぜ少ないのか・・・それは、成長速度を速め早く出荷するためです。
そして密植に非常に大切なのが、「間伐」です。
吉野で行われている間伐は「多間伐」と呼ばれ、樹齢60年までの間に10回前後の間伐を行い、最終的には1ヘクタール当たり100本になるまで間引き続けます。
折角密植したものをわざわざ間伐する理由は、密植したままにしておくと、日光が当たらず栄養が足りず木の生育が悪くなるためです。
なんだか不思議な気がしますよね。
それなら元々通常程度に間隔をあけて苗を植えたらいいのではないか?と思われて当然だと思います。
そんな、生育不良を防ぐために行われる間伐ですが、もちろん得られる効果はそれだけではありません。
実はこの「密植」と「多間伐」を合わせた作業こそが、吉野材の特徴の一つである年輪の幅が整った材の秘訣なのです。
密植した木を、木の成長に合わせこまめに間伐を行い、木がどれだけ成長しても常に密度を一定にすることで、成長速度をコントロールしているのです。
非常に長い時間手間暇をかけて育てられる吉野材は、密植と間伐で成長を遅らせ年輪を均等にするだけでなく、「枝打ち」という作業も行っています。
枝打ちを行った材は、目を見張るほどきれいなのが特徴です。
材には当たり前にあるはずの節が無く、つやつやとした木肌のみを見せてくれますが、美しさのためだけに枝打ちが行われているのではありません。
節は見た目だけでなく、材そのものの強度にも影響を与えてしまうことが分かっています。
そのため、吉野の山守たちは古くから枝打ちを行い、数十年から100年・200年以上の時間をかけ、何代にもわたって1本の木を大切に育ててきたのです。
それが今の、美しく強靭な他で類を見ない吉野材「吉野檜」「吉野杉」になっているのです。
吉野山でお花見をと思えば誰でも行けますが、林業を営む吉野山の中に入ることはできません。
先にもお伝えした通り、吉野山は人間が手を入れ育んできた森であるため、所有者がいらっしゃいます。
吉野で丁寧に木々を育てられている山守です。
弊社で行っている吉野見学ツアーは、そんな山守が守る森の中を見て回ることができる貴重な機会です。
コロナ前までは年1回程度、定期的に開催していたのですが、それももう3年以上前の話になります。
3年前にご参加くださった方は、もう新しいお家のお施主さんになられている方も多くいらっしゃり月日の経つ速さと、コロナ禍で失われた時間と機会の多さを感じずにはいられません。
今回のツアーも今まで通り。
あまり変わったことをする予定はありません。
ただ、吉野林業のすばらしさ、木の持つ力を実際に感じていただき、その木がどのように材になっていくのか。
家の土台となる木と材を体感いただき、施設を見学していただきます。
丁寧に育てられた木も、そのままでは材にはなりません。
職人が皮を向き、最適な切り方を見極め、丁寧に乾燥させて初めて「材」になるのです。
ツアーでは、木が育つ環境から現在成長中の木々、材の加工現場から加工済みの材まですべてご覧いただけます。
とても貴重な機会となっていますので、お時間の許す方はぜひご参加くださいね。
ちょうどタイミングよく代表清水もブログにて吉野ツアーの件を書かせていただいております。
ぜひそちらもご覧ください。
吉野は日本最古の林業発祥地とも言われており、驚くほど古い歴史があるとともに、木を育てていく時間も途方もないものです。
植林をして間伐をしながら木を育てていく、一つの山で一巡するまでに約250年の時間を要しています。
これは今もはるか昔も変わっていません。
家の購入は一生に一度と言われるほど大きな買い物だからこそ、家の性能や技術、素材やデザインにこだわるのはもちろん、その素材がどこからきているのか。
どんなふうに育っているのかも、ぜひ知ってほしいなと思います。
今回のツアーを逃したら、最短でも一年後の開催になるかと思います。
家づくりに使う木が気になる方はぜひご参加ください。