こんにちは、ダイシンビルドの設計スタッフ岡村です。
弊社では、お施主さんにとって本当に心地いい高断熱住宅を建てる為に、一番最初に行っていることは土地を読むことです。
土地を読むという言葉は、少し分かりにくいかもしれませんが、同じものが二つとしてない土地。
それぞれの特徴、メリットやデメリットをしっかり把握し、その土地で一番最適だと言えるプランを作ることを言います。
今回は、それぞれの土地にある建築条件の中の1つである、北側斜線についてお伝えいたします。
北側斜線の定義は大きく2つにあり、
・北側斜線は建築基準法に定められているもの。
・高度地区斜線は都市計画法に基づいて各行政庁で定められているものです。
設計を始めたばかりの頃、この「違い」が分かりにくかった思い出があります。
北側斜線は、建築基準法第三章、第4節 第56条一項3号に規定されます。
建築物の各部分の高さは北側斜線では、当該部分から全面道路の反対側の境界線 又は、隣地境界線までの真北方向の水平距離に1.25を乗じたものに、用途地域によって、5M、または10Mを加えたもの以下にしなければならないと規定されています。
文字にするとやはり分かりにくいので、下記表と図にまとめました。
第一種、第二種低層住居専用地域/田園地域 | 5M+1.25/1 |
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第一種、第二種中高層住居専用地域(日影規制対象地域を除く) | 10M+1.25/1 |
北側斜線と一言で言っても、土地の条件は様々であるため建築可能範囲が不利になってしまう場合など、緩和措置が用意されています。
代表的なものは下記になります。
・北側の前面道路反対側に水面、線路敷そのたこれらに類するものがある場合、前面道路の反対側境界線が水面、線路敷等の幅の1/2だけ外側にあるとみなされる。
・敷地の地盤が北側隣地より低い1m以上低い場合はその建築物の敷地の地盤面は、当該高低差から、1Mを減じたものの1/2だけ高い位置にあるもののとみなす。
北側斜線の緩和措置には、「塔屋は部分の緩和はありません」といった諸注意事項もあります。
法規ですので実践で使う際には色々と注意が必要です。
次にご説明するのは、定義の2つめ。
高度地区斜線です。
「建築基準法第58条、高度地区内においては、建築物の高さは、高度地区に関する都市計画において定められた内容に適合するものでなければならない」と、定められています。
分かりやすくいうと、「建築物の高さの最高限度、又は、最低限度」が決まっているという事です。
高度地区斜線は、都市計画法により、特定行政庁により斜線にて定められていますので、確認が必要です。
確認する際は、建築地のある特定行政庁、いわゆる市役所の建築指導課等に行って担当者にご質問ください。
(課の名前や役割等、役所によって様々なので、窓口で質問内容をお伝えすると課の名前を教えてくれるので、お尋ねください。)
その他、役所のホームページにも載せていることもしばしばあります。
検索するのも効果的です。
種類は第一種から第八種など行政によって違った形式の場合もあります。
大阪府下では、第一種高度地区は
建築物の各部分の高さ(地盤面からの高さによる)は、当該部分から前面道路の反対側の境界線又は隣地境界線までの真北方向の水平距離に0.6を乗じて得たものに5メートルを加えたもの以下とする。となっております。
北側斜線より、厳しい斜線制限となっております。
こちらの方が重要と言えます。
なお、高度地区斜線には天空率は使えないので、注意が必要です。
北側斜線、高度地区斜線、のどちらとも、「敷地の北側の隣接地の日照を確保するため」に定められています。
ということは、それは、同時に自分の家にも日照を確保できる地域ということが言えます。
敷地を購入する際は、そういったことも検討材料にして頂いた方がよいかと思います。
敷地に余裕があればあまり考える必要のない日射取得ですが、敷地に余裕がない場合等は、斜線の形にそった外観になったり、一部天井が下がったり、検討しなければなりません。
土地を持っていない場合の土地探しは、家を建てたいと思う会社と一緒に探すのが効率的と言われるのも、こういった規制や法にあったりします。