こんにちは、ダイシンビルドWEBスタッフの後藤です。
前回のコラムからかなり間が空いてしまいましたが、非常に厳しい夏の暑さは増すことがあっても衰える気配はありませんね。
前回のコラムが7月の頭。
こちらのコラムが8月の末にも関わらず、酷暑なことに変わりが無いのが、夏が長くなっている証拠のような気がします。
この暑さは明日から始まる9月に入っても続く予報なので、一体何カ月猛暑が続くのだろうか。
そして、来年再来年とこれからの近い将来、夏の気温はどうなっていくのだろうかと考えるだけで不安になります。
だからこそ、家づくりを行う会社の一員として、空調の消費エネルギーを減らしつつ快適に暮らせる高性能住宅のさらなる広がりが必要だと思わされます。
今回はそんな高性能住宅に国から与えられる認定、「長期優良住宅」についてお伝えいたしますが・・・。
長期優良住宅にかかわらず、法律や基準などは目まぐるしく変化しています。
今回のコラムの内容につきましても、あくまで2023年8月現在のものであると認識の上、こちらを基に、自分たちはどうなのか。
住宅の性能やお金のことはもちろん、税金や補助金のことまでしっかり相談できる会社を見つけて、家づくりを行う時点はどうなっているのか確認を忘れないでくださいね。
長期優良住宅とは、「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」の基準を満たした住宅の事を指します。
2009年に施行されたこの法律で、長期優良住宅の認定を受けた住宅は税制面で様々な優遇措置を受けられるようになりました。
長期優良住宅の認定には以下、9つの認定項目があります。
数世代にわたり住宅の構造躯体が使用可能であること。
通常考えられる維持管理条件下で、構造躯体が少なくとも100年程度使用できること。
極めてまれに発生する地震に対し、継続利用できるよう改修の容易化を図ること。
耐震等級2以上、または免振建築物であること。
構造躯体より、耐用年数が短い内装や設備の維持管理などが簡単にできる措置がとられていること
居住者のライフスタイルの変化等に応じて間取りの変更が可能な措置が講じられていること
断熱性能など、基準を満たす省エネルギー対策がとられていること
地区計画、警官計画、条例による街並み等の計画、建築協定、景観協定等が区域内にある場合、これらの内容と調和を図ること
良質な居住水準を確保するために、必要な規模を有すること。
戸建て住宅の場合は75㎡以上で1つの階が40㎡以上
将来を見据えて、定期的な点検・補修等に関する計画が立てられていること
災害発生のリスクのある地域では、そのリスクに応じて所管行政庁が定めた措置を講じること。
長期優良住宅の目的である「優良な住宅を手入れしながら長く大切に使う」の通り、認定項目はどれも認定されて終わりではなく、計画的なメンテナンスを行い長期的に住まい続けることが条件の基になっています。
先ほど、長期優良住宅には税制上の優遇措置があるとお伝えしまいたが、実はそれだけではありません。
税金以外にもメリットがあるので、順番にどのようなものがあるのかお伝えいたします。
住宅ローンの年末残高の0.7%が最大13年間所得税から控除される制度が、住宅ローン減税です。
所得税よりも控除額の方が多い場合、翌年の住民税からも一部控除されるという、とてもうれしい減税措置です。
この住宅ローン控除。
一般住宅の場合は、借入限度額3,000万円に対し、長期優良住宅の認定を受けることで、2024年・2025年は4,500万円まで増額されます。
結果、年末の住宅ローン残高が上限の4,500万円の場合、最大で315,000円還付されるのです。
ただし、住宅ローン減税を受けるための借入限度額は、入居年数ごとに変わりますし、基準は入居年度なので、今から家づくりを考え始めた場合、限度額に変更があるかもしれません。
その点はご注意くださいね。
そして、長期優良住宅にかかわらず、住宅ローン減税には以下の条件があります。
1つでも当てはまらなかった場合、住宅ローン減税自体が受けられないので、注意してください。
住宅ローン減税を受けるための条件
1:自らが居住するための住宅であること(収益物件はNG・居住の実態は住民票で確認されます)
2:床面積が50㎡以上
3:合計所得金額が2,000万円以下(合計所得とは、給与だけでなく退職金や株の売買による利益や配当、先物取引に係る雑所得の金額などを含みます。)
4:住宅ローンの借入期間が10年以上
5:住宅の引き渡し日、または工事完了の6カ月以内。控除を受ける年の12月31日までに入居していること。
住宅ローン控除を受けるためには、以上5つの条件をすべて満たす必要があります。
1つでも欠けてしまうと、せっかくの減税措置を受けられなくなってしまうので、注意が必要です。
投資?住宅に?と思われるかもしれませんが、全く違います。
投資型減税とは、住宅ローンを利用せずに長期優良住宅を取得する場合の減税措置になります。
住宅ローンを使わないということは、全額自己資金で長期優良住宅を取得した人が対象になります。
自己資金と言っても、例えば家の買い替えや建て替え、頑張って貯金し続けた人、退職金で住宅を取得した人等。
住宅ローンを使わないからと言って、お金に余裕がある方ばかりではありませんし、住宅ローンを使用しない方には何も控除が無いのは非常に不公平ですよね。
そんな不公平をなくすために用意された減税措置が、投資型減税です。
所得税から控除されるのは、標準的な性能強化費用相当額(45,300円×床面積)の10%です。
標準的な性能強化費用相当額っていったい何?と思われるかもしれませんが、長期優良住宅の基準を満たすために要した費用のことを指しています。
もうちょっと分かりやすい言い方は無いものかと思わないでもないですが・・・投資型減税の対象を具体的に言うと、自己資金で建てた居住用の「認定長期優良住宅」・「認定低炭素住宅」・「ZEH水準省エネ住宅」の新築です。
最大控除額は65万円です。
住宅ローン控除よりも、最大控除額が大きいですが、投資型減税で受けられる控除は1回だけです。
ただし、所得税から引ききれない場合は、翌年の所得税からも控除されますので、ご安心ください。
ちなみに、最大控除額65万円を得られる床面積は、「143㎡」です。
それを超えた分は、残念ですが控除対象となりません。
そしてもちろん、投資型減税にもすべてを満たす必要のある条件があります。
投資型減税を受けるための条件
1:自ら居住かつ所有するための住宅であること(収益物件はNG・居住の実態は住民票で確認されます)
2:長期優良住宅取得して居住
3:住宅の引き渡し日または工事完了の6か月以内に入居
4:床面積が50㎡以上
5:合計所得金額が3,000万円以下(合計所得とは、給与だけでなく退職金や株の売買による利益や配当、先物取引に係る雑所得の金額などを含みます。)
6:店舗等併用住宅の場合は、床面積の1/2以上が居住用であること
新築住宅には、固定資産税が一定期間半分まで減額される、3年間の減税期間が設けられています。
その3年間の減税期間が、長期優良住宅の場合5年まで延長されます。
固定資産税は新築時が一番高くなり徐々に減っていくため、最初の5年間は半分になるというのはかなり嬉しい措置ですね。
ただし、半分になるのは居住部分の床面積120㎡迄と定められています。
120㎡を超えた分には、通常通りの固定資産税が課せられるので、注意が必要です。
そして、固定資産税の減税期間の延長は、各自で申請が必要です。
勝手に減税されるのではなく、購入した翌年の1月末までに「固定資産税の住宅用地等申告書」を作成し、住んでる自治体の担当部署に提出することで受けられます。
初めて申請する場合は、分からないことばかりだと思いますので、住宅の施工を依頼したハウスメーカーや工務店の他、自治体に問い合わせをしてから書類を作成すれば、手続きがスムーズに住みます。
固定資産税の減税期間の延長には、条件は特にありません。
新築住宅ということだけです。
ただし、先にも書きました通り、申告しなければ適用されないので、必ず申告期限内に手続きを行うようにしてください!
期限が過ぎても無効です・・・。
住宅を取得したときに必要な登記手続き。
その際に、かかる税金が登録免許税です。
税額は土地や建物の固定資産税評価額に税率をかけて求められますが、この税率が、長期優良住宅を対象として軽減されています。
減税措置は年によっても変わるため、事前に調べる必要がありますが、2024年は下記と発表されています。
一般住宅の場合:保存登記が0.15%、移転登記が0.3%。
長期優良住宅の場合:保存登記が0.1%、移転登記が0.2%。
例えば、建物の評価額が3,000万円の住宅の場合、かかる保存登記は、
一般住宅で45,000円、長期優良住宅で30,000円になります。
この差、15,000円と家づくりの現場では少額に思われるかもしれませんが、何かと入用のタイミングのため、非常に助かる制度ですよね。
ここまで、新築戸建ての長期優良住宅が受けられる減税措置をお伝えいたしました。
住宅ローン控除と、投資型減税を同時に受けることはできないため、長期優良住宅が受けられる減税措置は最大3つとなります。
弊社は工務店のため、新築戸建てを対象にお伝えしましたが、中古住宅や集合住宅では期間などが微妙に違うので、中古住宅をリノベーションされる方や、マンションを購入される場合どのような減税措置がどれぐらいの期間あるのか、しっかり調べて損の無いようにご注意くださいね。
では次回のコラムも引き続き、長期優良住宅のメリット。
減税以外にも豊富にある活用しなきゃもったいないメリットをお伝えいたします。